Ib

さて、この間から話題に出ている「とあるフリーゲーム」ことIbです。
公開から程なくしてフリーゲームファンの間で話題になり始め、大きな人気を得たという事ですが、自分は後追いなためそのへんの状況はよくわかりません。
ただ、ニコニコ動画でタイトルは頻繁に目にしていましたし、なんとなく怖くて避けていたのですが、最近人気があるんだなぁというのはなんとなく知っていました。
それでとある動画を観た事で興味が湧いて、さっそく調べてダウンロードしたわけです。

ストーリー面についてはあまりに語り尽くされているので感想など。
まず惹かれるのは音楽による演出の巧みさです。
タイトル画面での印象的なメインテーマは言うに及ばず、ゲーム開始直後からオープニングはバリオスの「プレリュード ハ短調」に館内BGMはコレッリの「ラ・フォリア」と優れたクラシックの曲を用いて耳を引きつける憎い演出を見せます。
実際、動画を見たときもここまで進んだ時点で既にダウンロードを決意していた気がします。
その他は基本的にフリーBGM素材を使用していますが、選曲と使い方が絶妙で上手い具合にストーリーと雰囲気を盛り上げてくれます。

ゲーム性においては難しすぎず、かといって単純過ぎもしない謎解きの難易度が良い感じで、ちょっと迷うかも知れないけどまず詰まらないという感じで気持ちよく進行していきます。
特に感心したのが、作品の舞台である美術館をうまく活かしたギミックの数々。
単純な「お使いイベント」の置き換えに「それである必然性」を与えた上で雰囲気の演出にも一役買っているという何とも見事な使い方です。
中でも別行動になってからの一連の攻略は謎解き的にも本作のゲーム的ハイライトだと思います。
 また、あらゆる意味でキーとなる美術品の数々も非常によく出来ており、中には本当に現代美術の有名作品ではないかと思う物もあるくらいです。
これらの作品が、ゲームとしての本作にも華を添えているのは言うまでもないでしょう。

最後に、これらについては語る事もないくらいファンの間で話題にされ尽くしているのですが、ストーリーとキャラクターも素晴らしいものです。
ストーリーはこれ見よがしな恐怖を煽ったり大感動したりするような類ではなく、通して読んでいくと所々に心に刺さるような場面があり、最後には一抹の切なさが残るというタイプ。個人的には大好きです。
キャラクターにもあざとくならない範囲でしっかりと個性が付けられており、劇中での動きは各人各様にとても魅力的。
ヴィジュアルも絵として巧みというわけでもないですが、独特な表現力があって作風にも良く合っています。

とにかく全体的に完成度は非常に高く、丁寧に作られている印象で、作者さんの愛情を感じます。
作品ページのURLを見ると次回作以降の発表も意識しているのかなと思えますが、そうならとても楽しみです。
この路線を更に深く進んでいってくれても嬉しいですし、明るい物語とか正統ファンタジーみたいな新たな一面を見せてくれたりしたらもう、堕ちるしかないでしょう。
ギャラリーの落書きなんか見るとコメディ系も行けそうな感じがしなくもないのですが。

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