サッカーワールドカップの話

2014 FIFAワールドカップもグループリーグが終わり、これを書いているまさに今、決勝トーナメントの第一戦が始まっています。
日本代表は残念ながらグループ敗退となりましたね。
個人的にも今回は期待していたので残念な思いはいっぱいなのですが、最後に日本代表らしさを少しでもワールドカップの舞台に残し、次へのスタートとすることが出来たのはポジティヴな要素だったと思います。

僕はサッカーの専門家ではないので戦略とかサッカー協会周りの話は詳しい方にお任せするとして、しかし試合を見ていて感じたことはいくつかあります。
それはつまり今回の敗因にもつながることなわけですが、 一言で言うなら選手たちの心がどこか不安定だったのではないかという話です。
この四年間、日本代表チームは前回南アフリカワールドカップでの守備的な戦術への反動からより積極的で攻撃的なサッカーを目指してきたわけですが、反動による進路というのはコントロールが難しいもので、正しい方向に進んでいるつもりでもあるべきところに着地できないということが時として起こります。
今回も、守備的サッカーへの反動が行き過ぎて攻撃的サッカーへのこだわりが過剰になってしまったように思いました。
結果として、今大会で代表選手たちは合言葉のように「自分たちのサッカー」 と口にしていましたが、それは本来どんな状況でも自分たちのリズムを崩すことなく反撃を狙うことで生まれるものだと思いますが、心のどこかでその言葉を特定の型に落としこんでしまい、それの実行に心を砕いてしまったのではないか、そんな気がします。
それにワールドカップという大舞台への畏れ、そこで結果を出したいという意気込みなどがうまく噛み合わず(あるいは悪い方向に噛み合ってしまい)、自らリズムを崩してしまったように思います。
第一戦、コートジボワールとの試合ではそんな中先制したことで受け身に回ってしまった気持ちと自分たちの用意した攻撃サッカーという型との矛盾に対応できず、プレイがちぐはぐになってしまい、続くギリシャ戦ではその反省から攻撃的なサッカーを貫いたものの、それでも型から抜けだせずに「自分たちのサッカー」を自ら模倣したに過ぎなかったのではないか、というのが個人的なこの試合の解釈です。
その後選手たちからは「考えすぎた」「形よりも結果を大事に」といった反省の声が聞かれ、続くコロンビア戦ではようやく本来の自分たちのサッカーを披露するに至ったわけですから。


このチームで最後の試合となったコロンビア戦は、前の二試合が雨中のナイトゲームという視覚的にも暗澹とした状況での試合だったのに対し晴れた日中の試合だったという気分的な部分もあり、それまでよりも間違いなく見ていて楽しい試合になりました。
メンバーを大幅に変更したとはいえ強豪のコロンビア相手に、圧倒的にボールを試合して立て続けにゴールに迫る様子は本当に奇跡のグループ突破があるのではないかと予感させるほどのものがありました。
結局それでも決め切ることが出来ず、逆にPKから先制を許し、追いついたものの後半に引き離され終了となったわけですが、あの試合を見ていた誰も点差ほどの格の違いがあるとは思わなかったはずです。
それはつまるところ大事なところで勝負を決めることができるかどうかという底力の差になるのではないかと。

ここで大事だと思うのは前回大会より結果が出なかったからやっぱり前回の守備サッカーに戻るべきだ! などと安易に方向転換を叫ぶべきではないということ。
南アフリカでは直前の試合で負けが込み、緊急的な戦術変更という形で入ったためにやるべきことがきっちりと定まり、統一された意識のもとでプレイ出来たため結果を出すことが出来ましたが、先に書いたように反動でしっかり正しい場所にたどり着くというのは難しいものです。
これがダメだったから次はあれ、などということを繰り返していては落ち着きどころを見付けられないままふらふらと漂い続けることになるのではないでしょうか。

さて、もう既に決勝トーナメントは始まっています。
一日目からブラジル-チリ、コロンビア-ウルグアイと南米の強豪同士が激突、二日目はオランダ-メキシコでは今大会最高レベルの攻撃と守備がぶつかり合い、コスタリカ-ギリシャでは堅守を誇るチーム同士の対決、三日目のフランス-ナイジェリアとドイツ-アルジェリアはともにグループを圧倒したヨーロッパのチームと厳しい争いを勝ち抜いたアフリカのチーム、鉄板に思えるだけにひっくり返ることがあれば大番狂わせ、4日目はアルゼンチン-スイスにベルギー-アメリカと何が起こるかわからない組み合わせ。
なんだか結果的に一回戦は日程ごとにコンセプトが決まっているかのような形になりましたね(4日目は余り物感が漂いますが)。
当然ですが、連日注目すべきカードが続々登場してくるので、そこに日本がいないのは残念ですが、まだまだ楽しみです。

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