FRAGILEのこと。

いや、右にブログパーツまで貼ってるくらいなので、触れた方がいいのかなと。
気に入った理由は、コンセプトに魅力を感じたのとオフィシャルサイトのBGMが気に入ったこと。
そういう動機なので、当然のごとく予約して特典CD付きのを買いました。

さて。先日クリアしたので大手を振って紹介できます。

まず、世界観、キャラクター、グラフィック、音楽。
プレイ中(前もか)の印象を決定づける要素ですが、これらは全体的に非常に質が高いです。
特にOPのムービーはここ暫くみたアニメ系の映像の中でも最高級のクオリティと言っていい出来だと思います。
特典CDは短いのが残念ですが、収録曲は粒揃い。無料の特典としては十分満足な出来です。非収録の楽曲も全体に良くできていて、演出として音楽以外の音とともにとてもいい働きをしています。
グラフィックは特にマップが良くできています。地下商店街の壁の落書き、遊園地の壊れた遊具やマスコットやホテルの壊れた壁から覗く植物、駅から外に出たときの空やダムから見える景色の美しさなど、印象的な景色は至る所にあります。フィールドに置かれた小物もいい雰囲気です(調べられるものがほとんどないのが残念ですが)。
比べるとキャラクターの方は表情や動きが時々ぎこちなく感じるところもありました。
キャラクター自体はストーリーの中でそれぞれに印象的な役割を持ち、また多くのキャラクターとは寂しい別れを迎えることになります。出会ってからずっと付き合うことになるのはサイだけでした。


そのストーリーですが、最初の何もわからない状況から手探りで道を探っていくところはよいのですが、核心に迫るにつれなんだか妙なことになっていき、後半はまた敵も味方も説教くさい主張を述べまくる展開ですごく予想通りでした(苦笑)。
結局最後は愛が勝つで終わるのも何だかなー。
ついでに全体にわたって感じられる気取った、というか格好つけたような言い回しもなんか気の利いたことを言おうとして滑ったというか詩的な表現をしたとか言って悦に入ってる気障な人っぽくてなんかあれなんですが、まあ単に僕がこういう言い回しが嫌いなだけなんだと思います。
途中、あちこちで語られる「人を食う化け物」の存在について本筋では全く触れられなかった(一回戦うだけ)のも消化不良感は否めず、登場する廃墟の少なさとストーリーの短さもあって物足りなさはかなり強かったです。
その分アイテムの記憶、特にショートストーリー系のシリーズが物語要素を補完しているのでしょうが、逆に後半はそちらが本筋を食ってしまい、話を進めるより記憶(と、ショートストーリー)を読んだ方が楽しく感じ始める始末。
結局、自分が買ったのは「FRAGILE」だったのか「七色クロシェット」だったのか、という気分になってしまいそうな感じで。
終盤のストーリーは、公式のPVでそれの存在を示唆する場面があったのでいやな予感はしていたのですが、ああそっちの方向に行っちゃったかという思いが拭えませんでした。
全体に、スタッフの趣味思考が透けて見える感じ(犬は雑魚敵、猫はストーリー上の大きな象徴、というところも含め)で、それが合わないとはまれない可能性は高そうです。
もっと面白くできそうな素材は提示されているだけに、惜しかったです。

そして大きな問題があるのはシステム面。
特殊なアイテム管理システムは、楽しめるのは最初のうちだけですぐに面倒になります。Wiiリモコンの機能を無駄に活用した操作性が煩わしく、アイテムを拾えるように並び替えるのにイライラ。すぐにアイテムがいっぱいになって焚き火に戻らされてまたイライラ。
長い道程を延々と進んでいる間に敵との戦闘でアイテムが埋まって、せっかく見つけた記憶アイテムが拾えずまた長い道程を引き返して取りに戻るということもありました。
また、武器がランダムで壊れる仕様なのですが、本当にランダムでダンジョン一個分くらい余裕で保つ場合もあれば装備して最初の戦闘で壊れる場合もあり、予想外のタイミングで壊れてはまた焚き火に引き返すの繰り返しでまたまたイライラ。
焚き火のポイントはゲーム中の節目節目にやたらと置いてあるのですが、往復回数が半端でないだけにちょっと長い程度の距離でもストレスがたまります。
手荷物の容量がこれだけなら、鞄には移動中いつでもアクセスできるようにして戦闘中に装備、使用できるのは手荷物だけ、というシステムでも良かったと思います。
また道中では壊れる床や低い天井で移動速度の遅い状態での長距離移動を余儀なくされるところもあり、ここはかなり苛立ちます。
移動システム自体は最初戸惑いますが、慣れれば割と自由に移動できます。
ところが地形とポインターや主人公の位置によってはカメラの挙動がとんでもないことになり、視点がガクガクになったり戦闘中に敵の位置が把握しようのない状態になりますし、移動中に主人公の手前にある物体(壁とか柱とか)にカーソルが被るとそっちを向いて移動が止まってしまうなどストレスを感じるところは多いです。
第一、後半の延々と続く通路や途中に敵がいるだけのだだっ広い広場など、廃墟の再現としてはリアルなのかもしれませんが、このフィールドを出しておいてよく「プレイ時間が予定より延びた」と言えるもんだな、と。

更に戦闘では敵との距離感がつかみにくく、戦法も近づいて(あるいは相手が近づいてきたところを)殴るというパターンで画一化されがちです。棒系の武器ではボタンを押すタイミングで強力な連続攻撃になるようですが、大抵の敵はそれに関係なく普通の連続攻撃を一連当てるだけで倒せるため、あまり意味はありませんでした。
しかも敵の動きが割と鬱陶しくどうやらボス以外はパターンがないようで、たとえば鳥の敵ならたくさんの敵が前から後ろから攻撃してくることもあれば一羽も近づいてこず攻撃が届かないこともあるなど立ち回りが面倒で、中盤以降この戦闘は負担にしか感じられませんでした。
特定のタイミングでしか攻撃できない敵の場合更にやっかいで、遠くの敵が攻撃できるようになったのに手前のやつが邪魔で行けない、攻撃が通らないときに攻撃するとカウンターを受けるので密集してるとボコボコにされる(それでなくても囲まれて袋だたきになることは多い)、攻撃待ちで敵の攻撃をよけてると後ずさりで戦闘エリア外に出て仕切り直し、などなど。
ついでにいえば武器の種類ごとに特徴があるのですが、その特徴が生かされておらず、スペースをとらず使い勝手のいい棒系とそれでしかできないことがある弓系以外の武器は、拾った直後に手持ちの武器が壊れる以外で使った記憶がありません。
そしてプロデューサーは「ボス戦では一度死なないと」と言っていましたが、このゲームの戦闘で死ぬ可能性は雑魚に囲まれたときの方が圧倒的に高いです。

総合的な印象として、「世界」は非常に良く作られているのですが、「ゲーム」を作るところで失敗したな、という感じです。
正直、これなら設定資料集の類とサントラが出たら本編には手を出さなくていいよ、と言ってしまえる状態です。
読み物+イメージCD、あるいはアニメで出せば良いところだけを見せられたのに、自分で歩く楽しみを加えようとしたばかりに評価を大幅に下げた作品、というのが最後までプレイした印象です。
念のため言いますが、世界、キャラクター、ヴィジュアル、音楽、これらは大変に魅力的でそれらを味わう楽しみは充分にあります。
その魅力をゲーム性の部分で損なって、しっかりと味わえなくしてしまったことが非常に残念だな、と思うのです。

あ、そういえば。
アイテムの取り逃しは無いように気をつけてプレイしていたのですが、最後の方で「枯れた鉢植え」をどうやら取り逃しました。
攻略サイトを見てみたら本当にラストダンジョン一歩手前のところにあったようなのですが、気づいたときには移動距離は短いのにもう戻れない状況(しかも「今はシンを追いかけよう」というメンタルな理由で)。
クリア後は最後のセーブデータが残るのみなのでもう永遠に戻れません。はい二週目決定。
(おそらく)一つのアイテムのためだけの再プレイですが、その存在以外に再プレイのモチベーションを支えてくれるものがないのが何とも悲しいです。

クリア後に追加要素を出してくれなくてもいい、ただほんの少し戻ってアイテムを回収させてくれれば、それでいいんだ……。

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